カジノ解禁はいつか…巨大プロジェクト「IR」始動、経済効果は計り知れず

2015年01月07日 17:22
これは成長戦略の目玉になる」
 
平成26年5月、シンガポールを訪れた安倍晋三首相は、カジノを中心とした統合型リゾート(IR)「マリーナ・ベイ・サンズ」などを視察して、こう期待感をにじませた。
 
カジノのフロアには1500台のスロットマシンや600台のゲームテーブルが並び、地上200メートルの屋上プールや会議場、水族館、遊園地も併設されている。実際にIRがシンガポールにもたらした経済効果はすさまじく、2013年の観光客数は09年から6割増の1560万人に達した。IR設置に伴う雇用も約2万3000人に上るという。
 
シンガポールに追随しようとしているのが日本だ。政府は観光立国を掲げ、訪日外国人旅行者を20年までに2000万人、30年に3000万人超に増やす計画だが、この起爆剤としてIRを位置づけている。
 
IR誘致の最大のメリットは、その経済効果。みずほ総合研究所がまとめたリポートでは、東京地区にカジノを含むIRを開設した場合、約3兆7000億円の経済効果が期待できるとしている。同様に香港の投資銀行CLSAは経済効果を年間400億ドル(約4兆7000億円)、大阪商業大の佐和良作教授は最大約7兆7000億円と見積もる。
 
こうした強気の数字を裏付けるのは、IRの恩恵を受けるとされる産業の裾野の広さだ。超大型施設だけに、不動産会社やゼネコンなど建設業界はもちろん、専用ゲーム機や貨幣処理機などのメーカー、警備会社やレジャー・アミューズメントなどのサービス業-と関連する業界は幅広い。
 
巨大な経済効果を取り込もうと、自治体の誘致合戦も激しくなっている。すでに全国で20カ所以上の自治体がIR誘致に名乗りを上げている。
 
とりわけ熱心なのが大阪で、すでに府と大阪市は候補地を臨海部にある埋め立て地「夢(ゆめ)洲(しま)」に絞り込んだ。広大な用地があり、都心とIRを結ぶ鉄道の整備計画も持ち上がっている。東京や横浜、沖縄なども調査・研究を続けており、有力候補地とされている。